耐震補強についての法律は?

耐震改修促進法とは

耐震改修促進法は、阪神淡路大震災の教訓をもとに、1995年12月に施行されました。

目的は、古い耐震基準のままの建物の耐震化を促進することなのですが、「努力義務」的な内容であったため、成果が現れたとはなかなか言いにくい状況でした。

そのため、2006年1月に耐震改修促進法の改正が行われました。

耐震改修促進法を理解する前に、その前提となる日本の耐震に関する法律の概要を把握しておきましょう。

旧耐震と新耐震

耐震設計の考え方や基準は、建築基準法に定められています。
その基準は、過去の地震被害を教訓に強化されてきました。

関東大震災(1923)の前までは、地震の力を考慮する設計をしなくてもよかったほどだったのですが、福井地震(1948)、新潟地震(1964)、十勝沖地震(1968)と、巨大地震の被害を踏まえて変遷を重ねてきました。

宮城県沖地震(1978)の後、1981年に行われた建築基準法の大改正は、その中で最も重要な改正となりました。

1981年(S56)6月に施行された改正を、建築の専門家はよく
「新耐震」と呼びます。もう20年以上前の改正なのに「新」というのも変ですが、それほど大きな違いがあり、「新耐震」で設計されているのか、「旧耐震」で設計されているのかが、既存建物の耐震診断を行う場合の最優先確認事項となります。

まだ記憶に新しい兵庫県南部地震(1995)の被害も、旧耐震と新耐震の建物で被害状況が大きく違いました。

平成7年阪神・淡路大震災調査委員会中間報告(建設省)より

兵庫県南部地震の被害は旧耐震建物に集中

耐震改修促進法

兵庫県南部地震(1995)の教訓から、同年12月に
「建築物の耐震改修の促進に関する法律」通称 耐震改修促進法が施行されます。

目的は、「新耐震」基準を満たさない建物(既存不適格と言います)について、積極的に耐震診断や耐震補強を進めることです。

しかし、現実にはなかなか耐震化が進まず、新潟県中越地震(2004)が発生します。
地震に対する危機感の高まりを背景に、より積極的な耐震化の促進を目的として、2006年1月26日より改正耐震改修促進法が施行されました。

改正耐震改修促進法のポイント

倒壊し、道路を塞いでしまった建物

目標の設定

住宅および特定建築物*1の耐震化率を平成27年までに90%とする
→この目標を達成するには、いままでの2~3倍のペースで建替えや改修が必要と思われます。

計画的な耐震化の推進

国の基本方針に基づき、地方公共団体は耐震改修促進計画を作成する
→耐震改修促進の主体は都道府県になったと言えます。各自治体が具体的アクションプランを作成しています。

建築物に対する指導等の強化

指導や指示に従わない特定建築物*1の名前を公表する
→耐震偽装事件もあり、耐震性能が低い建物の情報をオープンにする流れが明確になってきました。自治体によっては、自治体所有建物の耐震性能を行っています。静岡県は、建物の玄関にラベルを表示する方法で公表しています。

倒れると道路を閉鎖させる建物も対象となる
→特定建築物*1以外であっても、倒壊した時に重要な道路を閉鎖してしまうような建物は対象となります。

支援措置の拡充

耐震改修計画の認定対象に一定の改築を伴う耐震改修工事などを追加
→古い建築基準法で建てられた建物は、今の基準法に照らすと耐震以外の部分で不適格な部分が多くあります。
計画の認定対象になると、耐震以外の不適格な部分について、やむを得ないと認められれば目をつぶってくれるため、改修が行いやすくなります。
また、低金利の融資を受けられたり、税制上の優遇処置を受けられることになります。
>詳しくは「融資や援助の制度があります」をご覧ください。

*1 特定建築物とは
病院・学校・商業ビルなど、多数の人が利用する一定規模以上の建築物。
その規模によって、「指導・助言」の対象となる場合、「指示・立入検査」の対象となる場合があります。

耐震改修促進法以外の関連法改正

耐震改修促進法の改正に前後して、関連する法律の整備も進められています。

建築基準法の一部改正(平成17年6月)

主な内容は以下のようになっています。

  • 建築物の検査・報告制度の強化
  • 既存不適格建築物の増改築に関する規制緩和
  • 著しく危険な既存不適格建築物に対する勧告および是正命令制度の創設
  • 違反行為に関する罰則強化

この中の、既存不適格建築物の増改築に関する規制緩和措置により、耐震改修工事を段階的に行うことが可能となりました。
具体的には、今までは「やるなら建物全部」しなければ許可が下りなかったのですが、構造的に分かれているなら部分的に改修が行えるようになりました。

宅建業法施行規則の改正(平成18年4月)

宅地建物取引業者の「重要事項説明」の義務として、耐震診断が加えられました。
旧耐震基準の建物を取引する際、耐震診断を受けたことがあるかどうかを調査し、
ある場合 → その耐震診断の内容を説明する
無い場合 → 耐震診断を受けたことが無いことを説明する
という義務が加わりました。

旧耐震の建物は「売りにくく」なり、資産価値を高めるためには、耐震診断と補強が重要になるわけです。

融資や補助の制度があります